き事、疑《うたがい》を容れざるべし。
次に、如上の考察を事実と照合して具体的に説明すれば、まず、或る瀕死の病人に最後迄附添いおりたる者、又は、屍体の始末をなしたる人間が睡眠後……特に介抱その他に依る身神《しんしん》の疲労又は一種の安心等のために平常よりも深き熟睡に陥りたる場合に於て、その屍体より受けたる深刻なる暗示のために、前記の如き残忍性を帯びたる夢遊心理を誘起され、未葬もしくは既葬の屍体を取り出して飜弄したりとせむか。自身は殆どその自ら手を下したる事実を記憶せざるべきは当然と見るを得べし。或は、半ば朦朧《もうろう》状態に於て意識せるものとするも、彼《か》の小児の人形飜弄の如く、自己が手を下したるものとは思惟《しい》せずして、屍体そのものの活躍なりと錯覚し、一種の悪夢の如きものと信じつつ屍体を飜弄して、どこへか遺棄し去り、又は棺桶等に投入返還したるまま、床に帰りて就寝したる者が、翌朝に到りて屍体の変位、紛失等を発見するや大いに驚き、妖異の所業《しわざ》と解釈して斯《か》かる伝説の由縁《ゆうえん》を作るべき事は疑を容れず、すなわちかかる伝説、口碑の殆ど全部が、屍体に側近する者の些《す
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