する拉甸《ラテン》人種間に伝われる記録及び迷信深き東洋諸民族間に残存せる伝説等に散見するあるのみ。而してその記録なるものも所謂、実見記等の類に非《あら》ず。或る特異の頭脳を有する僧侶、医師等が他人より聞知し、又は探聞し得たる事を記載せる随筆程度のものに過ぎざるのみならず、その記事の十中八九は屍体を使用して人を脅威し、電力を与えて死者を動かし試み、死人を装《よそお》うて悪事を働らく等、その他、迷信的の薬物たる臓器の獲得、埋葬品の奪掠《だつりゃく》、屍姦《しかん》等の事跡の誤認、誤伝せられたるものなるを以て、容易に真相を捕捉し難き憾《うら》みあり。
然れども斯《か》かる屍体飜弄[#「屍体飜弄」に傍点]の事実の古来より存在せる事は疑《うたがい》を容れず。即ち支那、印度《インド》、日本等に於て屍神《ししん》、屍鬼《しき》、もしくは火車《かしゃ》等と称する妖異|譚《ものがたり》の内容を検する時は、この種の夢遊行為……すなわち屍体飜弄が誤伝せられたるものなる事を、自然科学、精神科学等の各方面より推知するを得べし。
而して斯《かか》る事実の詳細に関しては他日「妖怪篇」なる一篇に集積して研究論証す
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