ゆえん》なり。

  【五】 絞首に引続く第二段の夢中遊行……屍体飜弄……

 被害者が、床上その他を輾転《てんてん》して苦悶したる痕跡及び絞殺の跡《あと》顕著なるにも拘《かかわ》らず、更にこれを縊死と見せかけたるは浅薄なる犯罪隠蔽行為なるが如くにして実は然らず……云々として、犯人たる仮想の第三者の智力の尋常ならざるを疑われたるは、一面の理由ある判断なるが如くなるも、これ亦、余りに穿《うが》ち過ぎたる不自然の観察なりと信ずるに躊躇せず。何となれば右の事象は又、偶々《たまたま》以て夢中遊行状態特有の怪異なる行動が当夜、同所に於て行われたる事跡を物語るものにして、著者の所謂《いわゆる》……屍体飜弄[#「屍体飜弄」に傍点]……が当夜の呉一郎に依って演ぜられたるものと認めて些《いささか》の不自然を感ぜざるのみならず、却《かえ》って右の事象に対する説明の簡単適切、疑うべからざるものあるを以てなり。
 但し夢中遊行中の屍体飜弄[#「夢中遊行中の屍体飜弄」に傍点]なる現象に関しては古来、明確なる記録の憑拠《ひょうきょ》するに足るべきもの殆ど存在せず。唯、かかる超唯物科学的なる現象に対して深き興味を有
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