おりました活動の話に、夢遊病の事が書いて御座いましたからです。何か西洋《あちら》の事で、私どもにはよく解りませぬけれども、夢遊病に罹《かか》ってした事なら罪にならぬから、これから夢遊病の真似をして悪い事をしようか……なぞ若い者が申して笑っておりましたから、その事を思出しまして、もしやと思って尋ねて見たので御座いますが、女の癖に差出がましいとは存じましたけれども助けたいが一心で御座いましたから(赤面)。おかげ様で一郎が元の潔白な身体《からだ》になります許《ばか》りでなく、妹にも久しく不品行《ふしだら》な事が御座いません事が、亡骸《なきがら》をお調べ下さいましてから、お判りになりましたとの事で、これがせめてもの心遣《こころや》りで御座います。……で御座いますから私はここで立派に法事を営みましてから、お世話になりました皆様へも、世間並の御挨拶をして立ちたいと思います。
――昨日《きのう》、東京の近江屋《おうみや》の御主人からお香奠《こうでん》に添えてこのようなお手紙(略)が参りました。「宮内省のお役人から、お装束の修繕《つくろい》がさせたいからと頼まれて、妹の行衛《ゆくえ》を探しているとこ
前へ
次へ
全939ページ中496ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
夢野 久作 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング