ら宜しう御座いましょうか……犯跡が歴然と致しておりながら、犯人が居た形跡がないとでも……」
「……フ――ン。面白いナ……」
「……で御座いますから、その少年が前回の実母絞殺事件で無罪と相成りました後《のち》も私は決して安心致しませんで、何とかして犯人の目星《めぼし》をつけたいと考えました結果、被害者の実の姉で、少年の伯母《おば》に当る八代子《やよこ》という者や、警察方面とも連絡を取りまして、もしこの後《のち》に、この少年の起居動作、又は一身上の出来事なぞにすこしでも変った事があったら、直《すぐ》に知らせてくれるように頼んだりなぞ致して、絶えず注意を払っていたので御座いますが、とかくする中《うち》に二年後の今日と相成りますと、果して又も同じ少年が、今度は自分の伯母に当る八代子の娘でしかも自分の花嫁となるべき呉モヨ子という少女をその結婚式の前夜に絞殺致しましたので、二年前の実母殺しも、やはりこの少年が、同じような精神病的発作に駆られてやったものに違いない……というような事になりました。お蔭で二年前に……この少年の母を殺した犯人は別にいる……と申しました私の言葉は、目下のところスッカリ信用を
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