き肉《み》かなぞのように活《い》き活きとした薔薇色に盛り上って、煌々《こうこう》たる光明の下に、夢うつつの心を仄《ほの》めかしております。
 ……冷たい……物々しい、九大法医学部屍体解剖室の大理石盤の上に、又と再び見出されないであろう絶世の美少女の麻酔姿……地上の何者をも平伏《ひれふ》さしてしまうであろう、その清らかな胸に波打つふくよかな呼吸……。
 その呼吸の香《か》に酔わされたかのように若林博士はヒョロヒョロと立直りました。そうして少女の呼吸に共鳴するような弱々しい喘《あえ》ぎを、黒い肩の上で波打たせ初めたと思うと、上半身をソロソロと前に傾けつつ、力無くわななく指先で、その顔の黒い蔽《おお》いを額の上にマクリ上げました。
 ……おお……その表情の物凄さ……。
 白熱光下に現われたその長大な顔面は、解剖台上の少女とは正反対に、死人のように疲れ弛《ゆる》んだまま青白い汗に濡れクタレております。その眼には極度の衰弱と、極度の興奮とが、熱病患者のソレの如く血走り輝やいております。その唇には普通人に見る事の出来ない緋色《ひいろ》が、病的に干乾《ひから》び付いております。そうした表情が黒い髪毛
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