て胡麻化《ごまか》すかと見ておりますと、流石《さすが》は絶代の怪人物黒衣博士です。何の造作もないこと……その両腕の肘の関節をポキンポキンと押曲げてチャンと合掌させて、白木綿でシッカリと縛り包んでしまいました。成る程。これなら大丈夫と思ううちに、これも同じく隠しようのないままに残されていた皸《ひび》だらけの足の踵《かかと》も、美少女の小さな足袋《たび》の中に無理やりに押込んでヒシヒシとコハゼをかけてしまいました。そうして愈々《いよいよ》強直してしまった、艶《なま》めかしい姿の白坊主をヤットコサと抱き上げて、寝棺の中にソッと落し込んで、三枚|襲《がさ》ねの振袖と裲襠《うちかけ》を逆さに着せて、糸錦《いとにしき》の帯で巻立ててやりますと、今度は多量のスポンジと湯と、水と、石鹸と、アルコールとで解剖台面を残る隈《くま》なく洗い浄《きよ》めました。その上に意識を恢復しかけている美少女の裸身をソロッと抱え上げまして、その下敷になっていた分厚い棺の蓋を、テルテル坊主の上からシックリと当てがって、その上を白絹の蔽いでスッポリと蔽い包んでしまいました。
 しかし黒怪人物の怪事業は、まだ残っておりました。
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