ありますまい。
 そうした不可解な心理を包んだ黒怪人物……若林博士は、かくして間もなく、少女の胸腹部を、咽頭の処まで縫合せ終りますと、最後に一際《ひときわ》鋭い小型のメスを取上げて、四一四号の少女の顔面に立向いました。
 まず、右の眼の縁へズクリとメスを突立てますと、恰《あたか》も同博士独特の毒物の反応検査を試みるかのように、両眼をグルリグルリと抉《えぐ》り出してしまいましたが、例によって、別に眼底を検《あらた》めるでもなく、そのまま直ぐに元の眼窩《がんか》に押込んでしまいました。次には、その中間の鼻梁《びりょう》を、奥の方の粘膜が見える処までガリガリと截《た》ち割りました。それから唇の両端を耳の近くまで切り裂いて、咽頭が露われるまでガックリと下顎を引卸しました。
 屍体の顔はかようにしてトテモ人間とは思われぬまでに変形してしまいましたが、これを又モトの通りに一個所|毎《ごと》に縫い合せました黒衣の巨人は、ホッと一息する間もなく、ガーゼと海綿を取上げてアルコールをタップリと含ませながら、汚れた処を一々叮嚀に拭上げますと、やがて今までとはまるで相好の変った、誰が誰やらわからぬ奇妙な恰好の
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