《うしな》ってしまって、殆ど別人かと思われる残忍、酷烈な、且つ一種異様な興味に駆られた、元気溌溂たる人間に変って来ておりますことを……。
しかし、これは決して怪しむべき現象ではありませぬ。昔から或る仕事の大家とか、又は或る技術の名人とか天才とか呼ばれる人間が、自分の仕事に熱中して参りますと、その疲労から来る異常な興奮と、超自然的な神経の冴えが生み出す妄覚等によって、平生とはまるで違った心理状態になって、一見極めて非常識に見える事に深刻な興味を持ったり、又は変態怪奇を極めた所業《しわざ》を平気で演じて行く例《たとえ》は、随分沢山に伝わっておりますので……況《いわ》んや若林博士のような特殊な体質と頭脳を持った人間が、斯様《かよう》な古今に類のないであろう事業……闇黒の中に絶世の美少女の仮死体を蘇生させるという、玄怪微妙な仕事が済むと間もなく、今度は世にも珍らしく、酷《むご》たらしい少女の虐殺屍体を、無二無三に斬りさいなむという、異常を超越した異常な作業にかかっているのですから、その神経が、どんな程度にまで昂進して、その心理が如何なる方向に変形して来ているかは到底常人の想像し得るところでは
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