埋めて、年に一度の供養法会《くようほうえ》を執行《とりおこな》う事になっておりますので、この屍体も、そうした種類の一つと考えられるのであります。
こう申しますうちに、屍体の全身を手早く検査し終りました若林博士は、今一度ホーッとばかり、喘《あえ》ぐように溜息しつつ、覆面ごしに顔の汗を押えておりましたが、やがて部屋の隅の洗面器の処に近付いて、水道栓から直接にゴクゴクと水を飲んでは噎《む》せかえり、呼吸を落付けては水を飲んで、暫くの間は息も絶え絶えに咳入《せきい》っております。永年の肺病に囚《とら》われて、衰弱に衰弱を重ねております同博士にとりまして、これだけの労作《はたらき》は、如何ばかりか辛《つら》く、骨身にこたえた事でしょう。
けれども同博士の怪《かい》より出でて怪に入る仕事は、まだ半分も進行していないので御座います。
程もなく洗面器の処から引返しました若林博士は、まず屍体の足の処にボール鉢を置いて、そこに取付けてあります水道栓のホースを突込んで、屍体の脚部から背中へかけた解剖台面に水を放流し初めました。次いで今一つのボール鉢に湯を取りまして、スポンジと石鹸を使いながら、解剖台上
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