わら》の木机の上に並べました。白髪染《しらがぞめ》の薬瓶と竹の歯ブラシ。三四本の新しい筆。小さな墨汁《すみ》の鑵《かん》。頬紅と口紅を容れたコンパクト。化粧水。香油。クリーム。練白粉《ねりおしろい》の色々……等々々。いずれも、斯様《かよう》な部屋に似合しからぬ品物ばかりで……。それから入口に近い棚の奥に隠してありました茶色の紙包を開きますと、中から白木綿と白ネルの筒袖の着物、安っぽい博多織《はかたおり》の腰帯、都腰巻《みやここしまき》、白い看護婦服と帽子、バンドの一揃い、スリッパ、看護婦帽、ヘヤピンなぞの、いずれも新しいものばかりを取出しまして、やはり傍の木机の上に置き並べました。斯様な品物は皆、昼間から準備していたもので、多分、解剖台上の少女に着せるつもりではないかとも思われますけれども、何のために、そんな事をするのかという事はまだ判明致しませぬ。
次に若林博士は、今一度ステトスコープを取り出して、少女の心音を念入りに聴き直した上で、向うの薬棚から小さな茶色の瓶を取って参りまして、その中の無色透明な液体を、心持ち顔を反《そむ》けながら、脱脂綿の一片の上にポトポトと滴《たら》しました
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