一面にユラメキ現われました。それは御覧の通り、部屋の中央に近く、四ツほど吊されております二百|燭光《しょっこう》の電球のスイッチが、最前からこの部屋の中に息を殺していたらしい人間の手で、次から次に捻《ひね》られたからで御座います……が、よく眼を止めて見ますと……。
 ……おお……その室内の光景の如何に物々しい事よ……。
 まず第一に視神経を吸い寄せられまするのは、部屋の中央を楕円形に区切って、気味の悪い野白色《のはくしょく》の光りを放っている解剖台で御座います。この解剖台は元来、美事な白大理石で出来ているので御座いますが、今日までにこの上で数知れず処分されました死人の血とか、脂肪とか、垢《あか》とかいうものが少しずつ少しずつ大理石の肌目《きめ》に浸み込んで、斯様な陰気な色に変化してしまったもので御座います。
 その解剖台上に投げ出された、黒い、凹字《おうじ》型の木枕に近く、映画面の左手に当ってギラギラと眼も眩《くら》むほど輝いておりますのは背の高い円筒形、ニッケル鍍金《メッキ》の湯沸器《シンメルブッシュ》で御座います。これは特別註文の品でも御座いましょうか、欧洲中世紀の巨大な寺院、もし
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