頭脳と、厭人《えんじん》的にハニカミ勝《がち》な性格に押え付けられているらしく思われるのであります。……とは申せ、随分と著しい特徴でありますから、この少年が解放治療場に参りましてから後《のち》の、長い長い心理遺伝の発作の途中、もしくはその回復期に於て、いつかはそうしたこの少年の腮の性格……感傷的な、もしくは激情的な気質が、あらわれるに違いないであろう事を、正木博士は楽しみにして待っておられた次第で御座います。
 ……以上述べましたところで、この呉一郎と申す少年の骨相は、あらかた、おわかりになった事と存じます。斯様《かよう》に色々な人種系統の特徴を、造化の神は如何にして、これ程まで端麗明朗に、且つ、純真美妙に取り合わせたかという事を考えますと、誠に気味が悪くなります位で……科学の権威とか、人智の進歩とかを一枚看板にしてオマンマを頂いております私共も、こうした生きた芸術の傑作に接しましては、唯、気を呑み、声を呑んで、頭を下るよりほかに致方《いたしかた》がないのであります。
 次にはこの少年の心理遺伝を中心とする事件の推移が、如何に奇々怪々なるプロットを以て正木博士の眼界に……オット違った。
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