に冷静な性格が、一朝にして心理遺伝の暗示によって、撃破、顛覆《てんぷく》されてしまいますと、今まで内部に潜み流れておりました大陸民族式の、想像も及ばない執拗深刻、且《かつ》、兇暴残忍な血が、驀然《まっしぐら》に表面へ躍り出して、摩訶《まか》不思議な大活躍を演ずる事に相成ましたので、つまり只今から御紹介致します空前絶後的な怪事件の真相と申しますのは、要するにこの少年の鼻の穴の中に隠れておりました蒙古人種《モンゴリア》系統の心理遺伝が、一時に暴れ出したものと、お考え下されば宜しいので御座います。
なお又、このほかに、この少年の骨相の中には、見逃してはならぬ大切なものが残っております。それは一面に極めて楽天的な、呑気なところがありながら、チョットした刺戟や、僅かな環境の変化にもすぐに感激昂奮して、あたり構わず笑ったり、泣いたり、怒ったりする……一口に申せば極めて気の変り易い、仏蘭西《フランス》人みたいな性格を象徴している、純|拉甸《ラテン》型の薄い腮を持っている事でありますが、しかし、この特徴も、この少年の平生の性格には、あまり現われていないようであります。やはり前に述べました極めて明晰な
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