女を、マリヤ様の再来と信じまして、随喜、渇仰《かつごう》の涙を流しているところで御座います。
それから又、あの土下座している髯男の周囲《まわり》を跳まわっておりますお垂髪《さげ》の少女は、高等女学校の二年生で、元来、内気な、憂鬱な性格で御座いましたが、芸術方面に非常な才能をあらわしておりまするうちに、所謂《いわゆる》、早発性痴呆となったもので御座います。……ところが、その発病と同時に、今までの性格がガラリと一変致しましたもので、ここへ入院致しました当時、正木院長から名前を尋ねられた時にも「妾《あたし》は舞踏狂よ……アンナ・パブロワよ」と答えたという病院切っての愛嬌者で、いつも御覧の通り、自作の歌を唄いながら、踊りまわっているので御座います。
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「青《あ》アオい空《そ》オラを見イたら
白《し》イロい雲《く》ウモが高《た》アかく
黒《く》ウロい雲《く》ウモが低《ひ》イクく
仲《な》アカア良オくウ並《な》アらんで
フウラリフウラリ飛んで行《く》よ
フウララフウララフゥ――ララ……
あたいも一緒に並《な》アラんでエ
フウラリフウラリ歩《あ》るい
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