けぬ背後《うしろ》から蟒蛇《うわばみ》が呑みに来ている。ビックリ仰天して逃出すと、頭の上から大鷲が蹴落しに来る。枝の間を伝《つたわ》って逃げ了《おお》せたと思うと、今度は身体《からだ》中に蝨《だに》がウジャウジャとタカリ初める。山蛭《やまひる》が吸付きに来る。寝ても醒ても油断が出来ない中《うち》に、やがて天地も覆《くつがえ》る大雷雨、大|颶風《ぐふう》、大氷雪が落《おち》かかって、樹も草もメチャメチャになった地上を、死ぬ程、狂いまわらせられる。……ああ……セツナイ。堪《たま》らない。自分は何も悪い事はしないのに、どうしてコンナに非道《ひど》い目にばかり遭うのであろう。どうかしてモット豪《えら》い者になって、コンナ災難を平気で見ておられる身体になりますように……と木の空洞《うつろ》に頭を突込んで、胸をドキドキさせながら祈っていると、ようようの事で尻尾《しっぽ》が落ちて、人間の姿になる事が出来た。
……ヤレ嬉しや。有難や。これから愈々《いよいよ》極楽生活が出来るのかと思っていると、どうしてどうして、夢はまだお終《しま》いになっていない。人間の姿になると直ぐに又、人間としての悪夢を見初める
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