が、脳髄に反映して、記憶に残っているものを吾々は「夢」と名付けているのである。
 たとえば人間が、不消化物を嚥《の》み込んだまま眠っていると、その間に、胃袋の細胞だけが眼を醒ましてウンウンと労働している。……ああ苦しい。やり切れない。これは一体どうなる事か。どうして俺達ばっかりコンナに非道《ひど》い眼に逢わされるのか……なぞと不平満々でいると、その胃袋の細胞の涯《はて》しもない苦しい、不満な気持が、一つの聯想となって脳髄に反映されて行く。すなわちその苦しい思いの主人公が、罪の無いのに刑務所に入れられて、重たい鎖に繋《つな》がれて、自分の力以上の石を担《かつ》がせられてウンウン唸《うな》りながら働いているところ………不可抗的な大きな地震で、家の下敷になって、藻掻《もが》きまわって、悲鳴を上げているところなぞ……そのうちにその苦しい消化の仕事が楽になって来るとヤレヤレという気持になる。……そうすると夢の中の気持……脳髄に反映されて行く聯想や空想の内容も楽になって、山の絶頂で日の出を拝んでいるところだの、スキーに乗って素晴しいスロープを一気に辷《すべ》り下る気持だのに変る。
 或《あるい》は
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