出来た最高等複雑なものであった。諸原素の活力を最も円満、敏活に発揮し得るように化合させた微妙精英の有機体……あめ[#「あめ」に傍点]、の[#「の」に傍点]、みなかぬし[#「みなかぬし」に傍点]の正統、エホバの愛《いと》し児《ご》、日の神の王子ホルスとも称《たた》うべき、地上最初の生命の群れに外ならなかったのだ。
だからこの元始細胞の一粒一粒は、その環境の変化に応じてアラユル意識だの、感情だの、判断力だのを現わし得る、無限の霊能を持っていたものである。自分以外の無機物、有機物を同化して、自己を増大し分裂すると同時に、その分裂した近所合壁《きんじょがっぺき》の細胞同志に、お互いの感覚や意識を反射交感させ合う霊能までも一緒に持っていたのだ。
その証拠に見たまえ……諸君の眼の前で、今の元始細胞が盛んに自己を分裂増大して、その形態と能力をグングン進化させ初めたではないか。その霊能でもって見る見るうちに成長し、分裂し、結合し、反射交感して、一心同体となって共鳴、活躍しつつ、自分達の共産的霊能を飽くまでも地上に発揮すべく、次第に高等複雑な姿に進化し初めたではないか。そうして……
「最早《もう》、
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