その脳髄を使い過ぎたためにコンナに頭が痛み出して来たんだッ……」
……と……。
そこでその科学者は直ちにメスを執《と》って、その脳髄を取出した屍体の全部を十万分の一ミリメートルの薄さに切り刻《きざ》んだ。そうして人体の各器官を形成する三十兆の細胞群が、隅から隅まで一粒残らず、脳髄を中心とした神経細胞の糸を引き合っている事実を確かめるや否や、死人の脳髄を両手に捧げて、一気に往来へ飛び出した。
「……わかったぞッ。わかったぞッ。何もかもわかったぞッ……。
生命の本源を神様の摂理だなぞというのは嘘だ。神様は人間の脳髄が考え出したものに過ぎないのだ。
……この脳髄を見よ……。
生命の本源はこの千二百|瓦《グラム》、乃至《ないし》、千九百瓦の蛋白質の塊《かた》まりの中に宿っているのだ。吾々の精神意識というものは、この蛋白質の分解作用によって生み出された、一種の化学的エネルギーの刺戟に外ならないのだ。
……すべては脳髄の思召《おぼしめ》しなのだ……。
科学の発見した脳髄こそ、現実世界に於ける全知全能の神様なのだ」
……と……。
当時の基督《キリスト》教の迷信と僧侶の堕落腐敗に
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