ために、コンナ灰白色の蛇のトグロ巻きみたようなものを、頭蓋骨の屋根裏に納めて御座るのだろう……。
という難問に引っかけて、ヘポメニアス氏の頭を幾日幾夜となく悩まし苦しめたのだ。
……ハアテ……この蛋白質の団塊《かたまり》は、泪《なみだ》と鼻汁の製造場のようにも見えるし、所謂《いわゆる》、章魚《たこ》の糞《くそ》に類似した物のようにも思える。人間と名付くる建築物《たてもの》の屋根裏に在るところを見ると、貴重な滋養分の貯蔵タンクではないかとも思えるし、小腸とおんなじような曲線でヌタクッているところから想像すると、何かの消化器官のようにも考えられる。……ハテ。何だろう……わからないわからない……。
といった風に散々に首をひねらせ、苦心惨憺させ、昏迷疲労させた。そうしてトウトウ何が何だか解らなくしてしまったあげく、ヘポメニアス氏の頭蓋骨の内側を、シンシンと痛み出させたのであった。
偉大なる天才科学者ヘポメニアス氏はここに於て、トウトウ物の美事に、自分の脳髄のトリックに引っかかってしまったのであった。そうして机を叩いて躍り上がったのであった。
「……わかったッ……脳髄は物を考える処だッ。
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