あった。
『人類を禽獣《きんじゅう》の世界に逐《お》い返した』
というのがその第三ページであった。
『人類を物質と本能ばかりの虚無世界に狂い廻らせた』
というのがその第四ページであった。
『人類を自滅の斜面《スロープ》へ逐い落した』
それでおしまいであった。
事実は何よりも雄弁である。
医学の歴史を繙《ひもど》けばわかる……。
人間の脳髄というものを、初めて人間の屍体の中に発見したのは西洋医学中興の祖と呼ばれている大科学者ヘポメニアス氏であった。
ところがその近代科学の泰斗《たいと》ヘポメニアス氏の偉大なる脳髄は、頗《すこぶ》る大胆巧妙を極めたトリックを使って、自分が発見した死人の脳髄の機能を、絶対の秘密裡に封じてしまったものである。
すなわちヘポメニアス氏の脳髄は『俺の正体がわかるものか』といわむばかりに、灰白色《はいいろ》の渦巻きをヌタクラせている『死人の脳髄』と、ヘポメニアス氏自身の毛髪|蓬々《ぼうぼう》たる頭蓋骨の中の『生きた脳髄』とを睨み合わせて、あらゆる推理の真剣勝負を開始させたのだ。
……ハテ。これは一体、何の役に立つものであろう。造化の神は何の
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