この戦慄すべき脳髄の悪魔振りを正視せよ。
 ……そうして脳髄に関する一切の迷信、妄信を清算せよ。

 人間の脳髄は自ら誇称している。
『脳髄は物を考える処である』
『脳髄は科学文明の造物主である』
『脳髄は現実世界に於ける全智全能の神である』
 ……と……。
 脳髄はこうして宇宙間最大最高級の権威を僭称しつつ、人体の最高所に鎮座して、全身の各器官を奴僕《ぬぼく》の如く駆使している。最上等の血液と、最高等の営養物を全身から搾取しつつ王者の傲《おご》りを極めている。そうして脳髄自身の権威を、どこまでもどこまでも高めて行く一方に、その脳髄の権威を迷信している人類を、日に日に、一歩一歩と堕落の淵に沈淪《ちんりん》させている。
 その『脳髄の罪悪史』のモノスゴサを見よ。

 吾輩……アンポンタン・ポカンは、アラユル方向から世界歴史を研究した結果、左の如き断定を下すことを得た。
 曰《いわ》く……脳髄の罪悪史は左の五項に尽きている……と……。
 『人間を神様以上のものと自惚《うぬぼ》れさせた』
 これが脳髄の罪悪史の第一ページであった。
 『人間を大自然界に反抗させた』
 これが、その第二ページで
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