りて自殺した患者の亀裂した頭蓋骨――
――女房に擬して愛撫した枕と毛布製の人形――
――手品を使うと称して、嚥下《のみくだ》した真鍮煙管《しんちゅうきせる》――
――素手《すで》で引裂いた錻力板《ブリキいた》――
――女患者が捻じ曲げた檻房の鉄柵――
[#ここで字下げ終わり]
 ……といったようなモノスゴイ品物が、やはり狂人の作った優美な、精巧な編物や、造花や、刺繍《ししゅう》なぞと一緒に押し合いへし合い並んでいるのであった。
 私は、そんな物の中で、どれが自分に関係の在るものだろうとヒヤヒヤしながら、若林博士の説明を聞いて行った。こんな飛んでもないものの中の、どれか一つでも、私に関係の在るものだったらどうしようと、心配しいしい覗《のぞ》きまわって行ったが、幸か不幸か、それらしい感じを受けたものは一つも無いようであった。却《かえ》って、そんなものの中に含まれている、精神病者特有のアカラサマな意志や感情が、一つ一つにヒシヒシと私の神経に迫って来て、一種、形容の出来ない痛々しい、心苦しい気持ちになっただけであった。
 私はそうした気持ちを一所懸命に我慢しいしい一種の責任観念みたようなものに
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