、まだどれくらい時間がかかるかわからないけど、その間にこのあたし……疑問の少女エラ子を見つける事が出来なければ、日本の警察も新聞記者も、みんなお馬鹿さんよ……って……ネ……。
 大丈夫よ。誰も妾を捕まえに来やしないわよ。妾がここを出たあとでこの置手紙を見て騒ぎ出すぐらいがセキのヤマよ。
 妾は本当の事を書いておきます。妾はつくづく神戸がイヤになってしまいました。シンカラお友達になってみたいと思う人が一人も居ない事がわかりました。ですからモウこれっきり[#「これっきり」に傍点]神戸に来まいと思って、タッタ一人でこのカフェーに乾盃をしに来たら、ちょうどコンナ号外が出たので、ツイ持ち前のイタズラ気《け》を出してしまったのです。

 妾は今朝《けさ》早く窓際のベッドの中で眼を醒ました。前の晩に遅くまで遊んだ朝は、いつでも、おひる頃まで睡たいのに、今朝《けさ》はよっぽどどうかしていた。
 妾は窓のカアテンを引いた。硝子《がらす》が一面にスチームで露っぽくなっていたから、手の平で拭いた。冷たかったので頭がハッキリとなった。
 妾の室《へや》はゴンロク・アパートの五階だった。窓の外は神戸の海岸通りの
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