取り出した。そうして、その一つを両手で重たそうに抱えながら引返して来て、寝ころんでいる妾の眼の前に突きつけた。
「これは……約束の品です」
「ナアニ。コレ……食パンじゃないの」
ウルフはニヤニヤと笑い出した。笑いながらパンの横腹を妾の方に向けて、そこについている切口を、すこしばかり引き開けるとその奥にテニスのゴム毬《まり》ぐらいの銀色に光る球《たま》が見えた。ところどころに黒いイボイボの附いた……。
「アッ……コレ爆弾、アブナイジャないの、こんなもの」
「エラチャンは……この間……云ったでしょう。日暮れ方にこの窓から覗いていると、あのブルドッグの狒々《ひひ》おやじが、往来を向うから横切って、妾の処へ通って来るのが見える。その威張った、人を人とも思わぬ図々しい姿を見ると、頭の上から爆弾か何か落してみたくなるって……」
「ええ……そう云ったでしょうよ。今でもそう思っているから……」
「その時に僕が、それじゃ近いうちにステキなスゴイのが仲間の手に這入るから、一つ持って来て上げましょう。その代りにキット彼奴《あいつ》の頭の上に落してくれますかって念を押したら、貴女《あなた》はキット落してやる
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