あ、可笑しい可笑しい。何ておかしい言葉でしょう」
 オシャベリ姫がこう云いますと、蛙たちはビックリしたらしく、みんな顔を見合わせましたが、やがて又前よりも一層烈しくオシャベリ姫にシャベリかけました。
「グル、グル、グル
 グルイレ、グルイレ、グルイレ」
「クロ、クロ、クロ、クロ
 プリイ、プリイ、プリイ
 プロロ、プロロ、プロロ」
 と云いながら、われもわれもとオシャベリ姫をのぞきこみます。
「オホホ、ハハハハ。あたしの顔が何でそんなに珍らしいの。眼玉ばかりキョロキョロさして」
「ツララロ、ツララロ、ツララロ、ツララロ、ツララロ、ツララロ」
「ハハハハハハハハ。ホホホホ。あたしいやよ、そんなにのぞいちゃ。アレ冷たい。気味のわるい。さわっちゃいけない。キタナラシイじゃないの」
「ダレイケ、ダレイケ、ダレイケ
 グレイケロロ、グレイケロロ、グレイケロロ」
「コロロ、グロロ、ガロロ、ウロロ、ゲロロ、ゲロロ、ゲロロ」
 といううちに、あとからあとからのぞき込んで来ます。しまいには上から上に重なり合って、姫の寝台の上まで飛び上って来て、われもわれもとしゃべります。
 オシャベリ姫は、これはたまら
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