鎖をもっともっと長く作ると、それに掴まってお兄さんに会いにゆくのです」
「あら、そう。それじゃ、あたしたちもお加勢しましょうね」
ミミのお友達の女の子たちは、みんなこう云って、方々から花を取ってきてミミに遣りました。ミミは草の葉を綟《よ》り合わせた糸に、その花を一つ一つつなぎまして、長い長い花の鎖にしてゆきました。
夕方になると、お友達はみんなお家《うち》へ帰りましたが、ミミはなおも一生懸命に花を摘んでは草の糸につなぎました。
その中《うち》に日が暮れると、花の咲いているのが見えなくなりましたので、ミミは草の中に突伏《つっぷ》してウトウトとねむりながら、月の出るのを待ちました。
やがて、何だか身体《からだ》がヒヤヒヤするようなので、ミミは眼をさまして見ますと、どうでしょう、いつのまにのぼったか、お月様はもう空のまんなかに近付いております。
ミミは月の光りをたよりに花の鎖をふり返って見ました。いろいろの花をつないだ艸《くさ》の糸は、湖のまわりを一まわりしてもまだ余るほどで、果《はて》は広い野原の艸《くさ》にかくれて見えなくなっております。
ミミはこの花の鎖が湖の底まで達《とど
前へ
次へ
全26ページ中9ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
夢野 久作 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング