部服用させたら、全快して、大に感謝されたといふことであつた。
 そんな報告は、澤山集めて居つたが、自分が醫者でないから、發表する事が出來なかつた。

脚氣の原因確定さる
 明治四十一年に、陸軍に脚氣調査會が設立せられ、同四十五年頃より、糠が本當に效くかどうかを試驗することゝなつたが、それでも某醫學博士などは、糠の水浸液を煮沸して脚氣患者に試驗したが、何等效力はなかつたと云はれた。
 そんな風に、なか/\議論が片づかなかつた。これは結局、ヴィタミンBの強力なものを製し得なかつたのと、與へる分量が少かつた爲であることが、後になつて判明した。強力の製品を多量に與ふれば、奇效を奏するのである。
 大正七、八年頃、ヴィタミン研究が歐米に於て盛んになり、その反響が再び日本に傳はるに及んで、日本の醫學者も、この問題を眞面目に考へるやうになつた。なかんづく島薗順次郎博士は、その頃京大に居られて、私の製法によつて自ら強力「オリザニン」を製し、多數の脚氣患者に試驗し、また衝心性の重症患者にも試みて好成績を得、愈々脚氣の主原因はヴィタミンBの缺乏であると斷定された。
 これと前後して慶應大學の大森憲太博士も
前へ 次へ
全20ページ中13ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
鈴木 梅太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング