ヴィタミン研究の回顧
鈴木梅太郎
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【テキスト中に現れる記号について】
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「酉+元」、第3水準1−92−86]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ヒヨロ/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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顧みれば、蛋白質、脂肪、炭水化合物、これにカルシウム、燐、鐵、沃度等の無機成分を加へた榮養素を以て動物は完全に發育するものと考へられてゐた時代は相當長かつた。しかも、この點に疑問を※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]むものは一人もなかつたのである。
私は以上の四成分のみでは動物は生命を保ち得ないことを證明し、微量にして生命を支配する何物かの存在を提唱し、その神祕の成分の一つが米糠中に含有さるゝことを見出し、これを抽出分析して「オリザニン」(ヴィタミンB)と命名し、明治四十三年の冬、我が學界に發表したのであるが、當時は殆んど顧みられず、越えて大正七、八年頃、歐米
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