」に傍線]は同じものであると見ていゝ。すつ[#「すつ」に傍線]は、一方すてる[#「すてる」に傍点]と言ふ意を持つ様になつた。うつ[#「うつ」に傍線]も、うつぼ[#「うつぼ」に傍線]舟・うつせみ[#「うつせみ」に傍線]など、からつぽ[#「からつぽ」に傍点]の意にも、目のないものゝ意にも考へられる様になつた。
うつ[#「うつ」に傍線]・すつ[#「すつ」に傍線]・すだつ[#「すだつ」に傍線]・そだつ[#「そだつ」に傍線]は、何れもたま[#「たま」に傍線]の出入に就いて言うた語である。たま[#「たま」に傍線]がものゝ中でなりいづ[#「なりいづ」に傍線]――あるゝ[#「あるゝ」に傍線]に至る――までの期間に用ゐた言葉であつたのだが、其がいつか、かひ[#「かひ」に傍線]の中に出入することを表す動詞ともなつた。ものゝ中に這入つて来る事を考へたと同時に、外へ出る事を考へた。さうして出る方ばかりに使はれる様になつて、這入る方の考へが段々薄らいで行つた。すだつ[#「すだつ」に傍線]・そだつ[#「そだつ」に傍線]は其の代表的な言葉だと見られよう。
       石成長の話
日本には、古くから石成長の話がある
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