メケリ》をがみ等の形を残して居る。
おもろさうし[#「おもろさうし」に傍線]巻二十二、てがねまるふし[#「てがねまるふし」に傍線]に、
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きこゑ大きみが
おぼつ、せぢ、おるちへ
あんじ、おそいよみまぶて
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と言ふ歌がある。此意味は
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名にひゞく天子がことを言はむ。
楽土なるせぢ[#「せぢ」に傍線]をおろして、
大君主をみまもりてあらむ。
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と言ふ位の意味である。此を見ても、せぢ[#「せぢ」に傍線]が神でなく、守護霊であることは、考へられる。又、くわいにや[#「くわいにや」に傍線]の例として、伊波普猷氏が引かれた、久高《クダカ》島のものには、かういふものがある。
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にらいどに、おしよけて
かないどに、おしよけて
のろがすぢ、せんどう、しやうれ
主がすぢ、せんどう、しやうれ
きみがおすぢ、みおんつかひ、をがま
しゆうがおすぢ、みおんつかひ、をがま
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此意味は、
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楽土への渡りどに、大船おしうけてあれば、
此船に祈る巫女のすぢよ、せん
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