くり[#「しゆんくり」に傍線]の様な事をする」との事であつた。しゆんくり[#「しゆんくり」に傍線]は同行の川平《カビラ》朝令氏にもわからなかつたが、東恩納寛惇氏は総括りと言ふ様な語の音転ではないかと言はれた。久高島の語は、沖縄本島の人にすらわからぬのが多い。西銘《ニシメ》氏の前後の口ぶりでは、本島のゆた[#「ゆた」に傍線]のする様な為事を、根神《ネガミ》がする様な話だつたので、私は尚疑問にしてゐる。柳田先生が、大島で採集して来られたしよんがみい[#「しよんがみい」に傍線](海南小記)と同根でありさうに思ふ。此は、ゆた[#「ゆた」に傍線]の為事をする男の事である。根神《ネガミ》は一村の人と親しい事、のろ[#「のろ」に傍線]よりも濃かるべきはず故、冠婚葬祭の世話を焼くは勿論、運命・吉凶・鎮魂術《マブイコメ》まで見てやつた処から、ゆた[#「ゆた」に傍線]神人たる職業が分化して来たのではあるまいか。沖縄県では、のろ[#「のろ」に傍線]は保護せぬまでも虐待しては居ないが、ゆた[#「ゆた」に傍線]は見逃して居ないにも拘らず、ゆた[#「ゆた」に傍線]の勢力は、女子の間には非常に盛んで、先祖の霊が託言
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