のをり、いつも先導を勤める女官よたのあむしられ[#「よたのあむしられ」に傍線]と関係がないかと想像してゐる。場合は違ふが、天子神事の出御に必先導するのは、我が国では、大巫《オホミカムコ》の為事になつて居た。王の行幸に、凶兆のある時は、君真者《キンマムン》現れて此を止める国柄ゆゑ、行幸・出御に与る此女官に、さうした予知力ある者を択んで日時《トキ》の吉凶を占はしたので、ときゆた[#「ときゆた」に傍線]などいふ語も出来たのか、よた[#「よた」に傍線](枝)の義の分化に、尚多く疑ひはあるが、此方面から見る必要があり相である。よたのあむしられ[#「よたのあむしられ」に傍線]の今は伝らぬ職分の、地方に行はれたのが、ゆた[#「ゆた」に傍線]の呪術ではあるまいか。正当なのろ[#「のろ」に傍線]・根神などの為事から逸れた岐路といふので、ゆた[#「ゆた」に傍線]神人《カミンチユ》と言うたのが語原ではあるまいか。此点から見れば、よたのあむしられ[#「よたのあむしられ」に傍線]も、神事から分岐した為事に与る女官の意かも知れぬ。
久高島久高のろ[#「のろ」に傍線]の夫、西銘《ニシメ》松三氏の話では「根神はしゆん
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