内は皆、三山の主神の遥拝所《オトホシ》として設けたのであらう。三殿内には、真壁大阿母志良礼《マカンウフアムシラレ》・首里大阿母志良礼《シユンウフアムシラレ》・儀保大阿母志良礼《ギボウフアムシラレ》を置いた。其上更に官として、聞得大君が据ゑてあつたのである。三つの大阿母志良礼《ウフアムシラレ》の下には、其々の地方の巫女が附属してゐる。佐司笠《サスカサ》・阿応理恵《アオリヱ》は、実力から自然に、游離して来る事になつたのである。併し、此とて、元々別々のものが帰一せられたものではなく、同根の分派が再び習合せられたものと見るのが、当を得てゐるであらう。
三|比等《ヒラ》の殿内の下には、間切《マキリ》々々(今、村)、村々(今、字)の君《キミ》並びに、のろ[#「のろ」に傍線]たちが附属してゐる。のろ[#「のろ」に傍線]は敬称してのろくもい[#「のろくもい」に傍線]と言ふ。くもい[#「くもい」に傍線]は雲上と宛て字する。親雲上《ペイチン》(うやくもい)などゝ同じく、役人に対して言ふ敬意を含んでゐるのであらう。王朝時代は、役地が与へられてゐて、下級女官の実を存してゐたのである。一間切に一人以上ののろ[#
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