、南方に居る高級巫女の意である。毎年十二月、君々《キミ/″\》御玉改めと言ふ事があつて、三平等《ミヒラ》の大阿母《ウフアム》しられ[#「しられ」に傍線]の玉かわら[#「玉かわら」に傍線](巫女のつける勾玉)を調べたよし、由来記に見えてゐる。又、君《キミ》に三十三人あつた事は、女官御双紙に出てゐる。君々《キミ/″\》の祖、祝々《ノロ/\》の祖とあるのは、巫女の起原を説いたので、巫女に高下あるのは、其祖の長幼の順によつたのだ、とするのである。
女官の中、皇后の次に位し、巫女では最高級の聞得大君《チフイヂン》(=きこえうふきみ)は、昔は王家の処女を用ゐて、位置は皇后よりも高かつたのを、霊元院の寛文七年に当る年、席順を換へたのである。王家の寡婦が、聞得大君《チフイヂン》となる事になつたのも、可なり古くからの事と思はれる。昔は、琉球神道では、巫祝の夫を持つ事を認めなかつたのであらうが、段々変じて、二夫に見《まみ》えない者は、許す事になつたのである。地方豪族の妻を大阿母《ウフアム》・祝女《ノロ》などに任じた事も、可なり古くからの事らしい。唯形式だけでも、いまだに、独身を原則として居るのは、国頭《ク
前へ 次へ
全60ページ中38ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング