不明である。かんじん[#「かんじん」に傍線]は、女でなければ触れる事すら出来ない。其に供へた物は、女のみが食し得るものである。此は女でなければ、供へ物をする事は出来ないと言ふ意味である。かんじん[#「かんじん」に傍線]は、女の人の喰べ余りと言ふ解釈にもなる。かんじん[#「かんじん」に傍線]は、女の嫁入りする時に持つて行く。而して、仏壇が別である。ふんじん[#「ふんじん」に傍線]は男も拝する事が出来るけれども、かんじん[#「かんじん」に傍線]は女の専有物である。
沖縄本島では、自分の家の香炉を有つて来ても、別の場所に置いてある。自分の家の神は亭主が祀つてもよいが、嫁の持つて来た香炉は、女以外の人間の、全くどうする事も出来ないものである。こんじん[#「こんじん」に傍線]は、根神より出たものではなからうかと思ふ。

     八 色々の巫女

琉球の神話では、天地の初め、日の神下界を造り固めようとして、あまみきょ[#「あまみきょ」に傍線]・しねりきょ[#「しねりきょ」に傍線]に命じて、数多くの島を造らせた。それが後の有名な御嶽或は、森となつた。さうして其二柱の産んだ三男・二女が、人間の始めと
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