には、幾種類もの香炉がある。八重山のいび[#「いび」に傍線]と言ふ語は、香炉の事であると思ふが、先輩の意見は各異つて居る。
八重山には、御嶽に三つの神がある。又、かみなおたけ[#「かみなおたけ」に傍線]・おんいべおたけ[#「おんいべおたけ」に傍線]と言ふのがある。八重山のみ、いび[#「いび」に傍線]又はいべ[#「いべ」に傍線]と言ふ事を言ふが、他所のいび[#「いび」に傍線]とうぶ[#「うぶ」に傍線]とは異つて居る。うぶ[#「うぶ」に傍線]は、奥の事である。沖縄では、奥武と書いて居る。どれがいび[#「いび」に傍線]であるか、厳格に示す事は出来ないが、うぶ[#「うぶ」に傍線]の中の神々しい神の来臨する場所と言ふ意味であると思ふ。八重山の老人の話では、御嶽のうぶ[#「うぶ」に傍線]ではなくて、門にある香炉であると言つて居る。即、香炉を神と信ずる結果、香炉自体をいび[#「いび」に傍線]と言ふのである。処が火の神にも香炉がある。中には香炉だけの神もあるが、要するに自然的に香炉を神と信じて居る。其香炉が、又幾つにも分れる。香炉が分れるけれども、分れたとは言はないで、彼方の神を持つて来たと言ふ、言ひ
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