く、琉球の諾冉二尊とも言ふべきあまみきょ[#「あまみきょ」に傍線]・しねりきょ[#「しねりきょ」に傍線]の名から来てゐるのである。あまみきょ[#「あまみきょ」に傍線]・しねりきょ[#「しねりきょ」に傍線]は、沖縄本島の東海岸、久高《クダカ》・知念《チネン》・玉城《タマグスク》辺に、来りよつたと言ふ事になつてゐるが、其名はやはり、浄土を負うてゐるものと見られる。ぎょ[#「ぎょ」に傍線]・きょう[#「きょう」に傍線]・きゅう[#「きゅう」に傍線]などは、人《チユ》から出た神の接尾語で、あまみ[#「あまみ」に傍線]・しねり[#「しねり」に傍線]が神の国土の名である。其を実在の島に求めて、奄美《アマミ》大島の名称を生んだものであらう。しねり[#「しねり」に傍線]に、儀来(ぎらい・じらい)との関係が見えるばかりか、あまみ[#「あまみ」に傍線]のあま[#「あま」に傍線]には、儀来同様、海なる義が窺はれるのである。
決して合理的な解釈を下す事は出来ない。北方、奄美《アマミ》大島から来た種族が、沖縄の開闢をなしたと考へるのは、神話から孕んだ古人の歴史観を、其儘に襲うた態度である。あまみ[#「あまみ」に
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