傍線]・しねり[#「しねり」に傍線]は、やはりにらい・かない[#「にらい・かない」に傍線]、なるこ・てるこ[#「なるこ・てるこ」に傍線]同様に、信仰の上の理想国に過ぎないのであらう。まや[#「まや」に傍線]・いちき[#「いちき」に傍線]と言ふ語も、同音聯想は違つた説明をも導く様であるが、やはり南方での、儀来河内《ギライカナイ》なのであらう。楽土の主神の名のあがるい[#「あがるい」に傍線]は、東方《アガリ》と言ふ意を含んでゐる。東海の中に、楽土を観じた沖縄本島の人の心持ちが見える。
此外に尚一つ、天国の名として、おぼつかぐら[#「おぼつかぐら」に傍線]と言ふのがあつた様である。混効験集には「天上の事を言ふ。いづれも首里王府神歌御双紙に見ゆ」とある。天帝(太陽神)の居る天城で、あまみきょ[#「あまみきょ」に傍線]・しねりきょ[#「しねりきょ」に傍線]も其処から来たものである。併し、此も「……雨欲しやに、水欲しやに、おぼつ通ちへ、かぐら通ちへ、にるやせぢ、かなやせぢ、まきょにあがて、くたにあがて……」などあるのを見ると、此語のなりたちも、大体は想像がつく。
屍解して昇天する話は、限りなくある
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