ふ信仰が、八重山を中心として小浜・新城・古見の三島に行はれてゐる。石垣《イシガキ》島の宮良《メイラ》村には、なびんづう[#「なびんづう」に傍線]と言ふ洞穴があつて、祭りの日には、此穴から二色人《ニイルピト》が現れて来ると言はれてゐる。
此祭りは、少年を成年とする儀式で、昔は二色人《ニイルピト》が少年に対《むか》つて色々の難題を吹きかけたり、踊らしたりしたといふ。にいるぴと[#「にいるぴと」に傍線]は、それ/″\赤と黒との装束をしてゐたので、二色人と言うたのだと言ふが、他の島では一定した色はない。今は二色人を奈落人と考へてゐる。沖縄の言葉は、日本語と同じく、語部に伝誦せられた神語・叙事詩から出たものが多い。だから、対句になつてゐる儀来河内《ギライカナイ》も其例の一つと見てよい。
沖縄本島から北の鹿児島県に属する道の島々並びに、伊平屋《イヘヤ》島に亘つては、其浄土を、なるこ国[#「なるこ国」に傍線]・てるこ国[#「てるこ国」に傍線]と言うてゐる。其処から来る神の名を、なるこ神[#「なるこ神」に傍線]・てるこ神[#「てるこ神」に傍線](又、ちりこ神[#「ちりこ神」に傍線])と言ふ。なるこ[#
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