つと直観的・象徴風のもので満足が出来たものである。
一体、神の依代は、必しも無生物に限らず、人間を立てゝ依代《ヨリシロ》とする事がある。神に近い、清い生活をしてゐると考へられてゐる神子《ミコ》か、さなくば普通の童男・童女を以て神憑《カミヨ》りの役を勤めさせるので、此場合、これをよりまし[#「よりまし」に傍線]と称へてゐる。
多くは神意を問ふ場合に立てるので、唯、神を招き寄せる為には、無心の物質を以てしても差支へのない訣である。
祭礼に人形を作ることは、よりまし[#「よりまし」に傍線]を兼ねた依代なので、この意味が忘れられると、殆ど神格化せられた人間の像を立てる。神功皇后・武内宿禰・関羽・公時・清正・鎮西八郎などが飾られるのは此為である。

     四 だいがく[#「だいがく」に傍線]とひげこ[#「ひげこ」に傍線]と

さて、日の神の肖像としては、どういふものを立てるか。茲に私は、自分に最因縁深い木津のだいがく[#「だいがく」に傍線]についてお話しをしたい。
京の祇園の鉾を見たものは、形の類似から直ちに、其模倣だと信ずるかも知れぬが、だいがく[#「だいがく」に傍線]と同型のものゝ分布し
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