柱のあるのも、また無いのもある。
やま[#「やま」に傍線]は、言語自身|標山《シメヤマ》の後である事を、明らかに示してゐる。ほこ[#「ほこ」に傍線]は、今日其名称から柱の先に劔戟の類をつけてゐるのもあるが、柱自身の名であるらしい事は、柳田国男先生の言はるゝ通りであらう。東京の山王・神田祭りに出る山車の語原は、練りもの全体の名ではなく、其一部分の飾りから移つたものらしく思はれる。木津(大阪南区)のだいがく[#「だいがく」に傍線]の柱の天辺《テツペン》につける飾りものも、山車と称へた。また徳島市では、端午の節供に、店頭或は屋上に飾る作りものゝ人形を、だし[#「だし」に傍線]或はやねこじき[#「やねこじき」に傍線]と言ふさうである。木津のだいがく[#「だいがく」に傍線]のだし[#「だし」に傍線]も、五十年以前のものには、薄に銀月・稲穂に鳴子などの作り物を取り付けてゐたといふ。して見れば、出しものゝ義で、屋外に出して置いて、神を招き寄せるものであつたに相違ない。一体、祭礼に様々の作りもの[#「作りもの」に傍線]や、人形を拵へる事は、必しも大阪西横堀の専売ではない。盂蘭盆や地蔵祭りに畑のなりもの
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