など言ふ字を宛てるのが、まづ普通の様だが、「通」は男に通婚せぬ義か、精通期に達せぬ事を示すのか、判断し難いと思ふ。をとこ[#「をとこ」に傍線]もわくこ[#「わくこ」に傍線]期を脱したものらしいが、をとめ[#「をとめ」に傍線]よりは社会人らしく扱うてゐるらしい。だが、此も一般的には誤解である。
wot は、復活する・元に戻るの義で、常に交替して神事に奉仕する男子・女子が、wot−ko, wot−me なのであつた。
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藤原の大宮づかへ 現《ア》れ続《ツ》がむ をとめが伴《トモ》は、ともしきろかも(巻一)
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の歌を見ても、宮中の巫女の交る替る現出して大宮仕へをする信仰が窺へる。
此をとめ[#「をとめ」に傍線]になり替る事は、ある年限があつたのである。此神役の資格を得て、はじめてをとめ[#「をとめ」に傍線]である。此までには、成女戒を授かるのが条件である。
成女戒を受けたをとめ[#「をとめ」に傍線]は、実に神の嫁となる資格が出来たのである。其に到るまでの生活が虔《ツヽ》しまれた。男とても、之を犯す事は触穢《ソクヱ》として避けねばならなかつた。此期
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