国を、天地の国よりあひのきはみ、しろしめす神の命と、天ぐもの八重かきわけて、神《カム》くだりいませまつりし、高ひかる日の皇子は、飛鳥《アスカ》の浄見《キヨミ》原に、神《カム》ながらふとしきまして、聖祖《スメロギ》のしきます国と、天の原岩門を開き、神《カム》あがり、あがり往《イ》ましぬ。(こゝまでは、天武天皇の御事)
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天武は、大神の直系として扱はれてゐる。天地のはじめの時の、第一のみこともち[#「みこともち」に傍線]なる君も、信仰上には区別のないわけだ。
此が下々にも及んでゐる。国の組織が出来てからは、大倭国内の豪族は、皆|大身《オミ》を意味する敬称を以て、君から遇せられた。さうした人々の間にも普通になり、大倭宮廷の諸部民なるかきべ[#「かきべ」に傍線]、大身の部民なるともべ[#「ともべ」に傍線]にも、一貫して行はれた。邑国の神事を行ふ人々は、をとこ[#「をとこ」に傍線]であり、之に対して奉仕する巫女はをとめ[#「をとめ」に傍線]と称せられた。
をとめ・をとこ
をとめ[#「をとめ」に傍線]・をとこ[#「をとこ」に傍線]には、万葉では未通女・壮夫
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