傍線]なる威霊とは、常に放しては考へられないものであつた。此外来魂の名が、最古く「ひ」であつた。其がすべての霊的のもの[#「もの」に傍線]の上に拡つて行つた後、分化した。原形は「日《ヒ》」となり、変形したものに、直日・禍津日・つくよみ・山つみ・海《ワタ》つみなどのひ[#「ひ」に傍線]・み[#「み」に傍線]となつて、かみ[#「かみ」に傍線]に歩みよる筋路を作つた。此ひ[#「ひ」に傍線]を躬に触《フ》らしめ得た方が、ひのみこ[#「ひのみこ」に傍線]であつた。此ひ[#「ひ」に傍線]を継承せられるのが、大倭の君であつた。
他の邑君・村酋の中にも、此信仰は、ある部分共通し、又次第に感染して行つた。かうした場合、此をよ[#「よ」に傍線]と称へた。後にひ[#「ひ」に傍線]が固定すると、よ[#「よ」に傍線]が代用せられ、更によ[#「よ」に傍線]の意義が、よ[#「よ」に傍線]の截り替への時期を意味する様になつて、一生一代の義になつた。でも、荒世昭《アラヨノミフ》・和世昭《ニゴヨノミフ》など言ふ用例を見ると、よ[#「よ」に傍線]には魂の義が熟語として残つてゐたのだ。さうすると、身を意味するみ[#「み」に傍
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