いふ語の原義は、ほゞ辿られる様である。
○へそくり[#「へそくり」に傍線]・しがいせん[#「しがいせん」に傍線] 雑誌郷土研究時代では、随分へそくり[#「へそくり」に傍線]・しがいせん[#「しがいせん」に傍線]などが、問題になつた。わたしは、へそくり[#「へそくり」に傍線]は綜麻繰《ヘソク》りで、家族の私有の利得は、其辺から得たものと信じてゐるので、しがいせん[#「しがいせん」に傍線]も、しんがい[#「しんがい」に傍線]・しがい[#「しがい」に傍線]など言ふ、糸鞋を作つて、めい/\の小遣ひ銭を作つた為と考へる。まつぼり[#「まつぼり」に傍線]なども、かういふ方面から、探りを入れて行くべきだらうと思ふ。
○がしん[#「がしん」に傍線] 岡山辺では、飢饉年をがしん[#「がしん」に傍線]と言ひ、京阪ではいくぢなし[#「いくぢなし」に傍線]をがしん[#「がしん」に傍線]といふ。私の様に弱かつた子供は「がしんやな」「がしんたれ」など言ふ語で、批評せられ通しであつた。処が、狂言記に二个処ほど(一个処は餌さし十王)がしん[#「がしん」に傍線]を見た。其用語例は、岡山の凶年とまでは行かずとも、不景気の
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