、短くはらゝかした髪である事は、わらゝば[#「わらゝば」に傍線]・はらゝ[#「はらゝ」に傍線]などいふ、H音・V音の音価動揺時代を知つた人には訣りきつた、所謂ばらけ髪である。大童などいふ語も、子どもの髪に見立てたのでなく、わらは[#「わらは」に傍線]其者が、ばらけ髪を言うた事を示してゐる。河童の事を河郎《カハラウ》・かつぱ[#「かつぱ」に傍線]と言ふのが、河わらは[#「河わらは」に傍線]・河わつぱ[#「河わつぱ」に傍線]から来たのだ、と言ふことは疑ひがない。だから、河郎・かつぱ[#「かつぱ」に傍線]が、絵にある形の頭をした者に定つた事は、極《ゴク》の近代でないと知れる。唯、あんな小さな形にしたのは、例の民間語原と言うてよからう。山わろ[#「山わろ」に傍線]などは、爺さんの様に考へてゐた者も、多いではないか。此場合も、尠くとも、山住みの気安さに、髪をふり乱してゐたのを斥したものであらう。がつそ[#「がつそ」に傍線](<かふそ)が川獺から出た物で、河童と一類に考へられた事も、明らかで(山島民譚集)ある。大阪では、四五十からの上の人は、昔の医者・修験などの頭の、所謂総髪をがつそ[#「がつそ」
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