られる。三・四・五は、無雑作と広義に拡充させて見ると、どうかかうか、説明はつくやうである。村田君の場合もまづ、訣りはするが、尚、不安心である。其で、今《モ》一度「両・諸」の方から探りを入れて見る。全体・すつかり[#「すつかり」に傍線]と拡げて見ると、一層訣り易い事は事実である。「電柱がもろに[#「もろに」に傍線]倒れた」なども「根柢から」と言ふ考へを下に持つた、全体・すつかり[#「すつかり」に傍線]と、説けばよい様だ。併し、現在の用語例は、全体・すつかり[#「すつかり」に傍線]にあるとしても、勢籠つた・鋭い・すばやい[#「すばやい」に傍線]などの言語情調を度外してはならぬ様である。今日の用語例は、語原的に言ふと、確かに「両《モロ》に」で、相撲などの術語から出たものと思はれる。さうでないとすると、近世的の語として「両《モロ》に」など言ふ語の発生は疑はしい。此処に尚、聊か「脆《モロ》に」語原の可能が許されさうに思ふ。さうとすれば、全体・すつかり[#「すつかり」に傍線]・根柢からなど言ふ用語例は、聯想から「両《モロ》」に結びつく為に出来たもの、と説明すべきであるやうだ。尚、序に注意すべきは、
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