」に傍線]と言ふのが、此語の普通の用例です。又、さう言ふ夫婦を、嘲笑の気味合ひで、だんじり[#「だんじり」に傍線]と呼んでゐます。あの地では、地車《ダンジリ》を囃すのに「おゝた/\」と言ふ語で、煽り立てゝ、地車を進めるのです。「追へ/\」「追うたり/\」などゝ同じ用語例です。だから、おゝた[#「おゝた」に傍線](老うてる)と言ふから、だんじり[#「だんじり」に傍線]を聯想したのです。此語は、二つともに、四十以上の人の外には使ひません。
○もろに[#「もろに」に傍線] もろに[#「もろに」に傍線]と言ふ語、前にあゝは言うたものゝ、尚、不安な処があるので、いろんな人に問うて見た。清水組にゐる鈴木は、やはり「諸《モロ》に」の義で、全体の意とし、その使うてゐる為事為《シゴトシ》が、最近に「足場がもろに[#「もろに」に傍線]倒れるといかぬ」と言うたと教へてくれ、村田春雄君は「電柱がもろに[#「もろに」に傍線]倒れて来た」との例を寄せられた。山中共古先生の御相談願ふと、鈴木と同じく「諸・両」説で、恐らく、大工仲間の術語だらうと言はれた。此頃の色物席は恐ろしく不純で、お上品になつた為に、自在な東京下
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