から、如何にも王号としては、不似合に感じて、更に別の敬称を重ねる様になつたものと見るべきであらう。初代の尚円を、按司添など称するのは、如何にももの/\しい。遥か後の追号としてさうなつたのである。「金丸按司」だけで通用したものであらう。
琉球では童名を為来《シキタ》りの上から重んじてゐる。其は古くは、童名だけだつたのである。だから、王でも神号がなければ、童名のまゝ伝るのであつた。王号は其に加へるやうになつたものである。童名も、古いのを並べて見ると、意味が見出される。
思徳金《オミトクガネ》(尚円)。音智殿茂金(尚円女、聞得大君)。於義也嘉茂慧《オキヤカモヱ》(尚真)。思戸金按司加那志《オミトカナアジカナシ》(尚真夫人)。思徳金(子、浦添王子)。真武礼金(同子、今帰仁王子)。真三良金《マサンラウガネ》(同子、越来王子)。尚清は童名真仁尭樽金。妃は、思銭金按司加那志、夫人(1)[#「(1)」は縦中横]真鶴金《マツルガネ》、夫人(2)[#「(2)」は縦中横]真美那古金《マミナコガネ》、夫人(3)[#「(3)」は縦中横]真世仁金。尚清子の中、伊江王子は童名金千代金と伝つてゐるのは、伊江家の元祖と
前へ
次へ
全61ページ中45ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング